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住宅会社の為のセルフプロデュース講座

〜建築写真の撮り方編〜

 

第5回

建築写真撮影テクニック❹撮影時間やその場所の環境等を考慮する。

 
  

今回はいよいよ最終回となる4つ目のテクニックを解説致します。それは建築を撮る上で重要なのは「撮影時間やその場所の環境等を考慮する。」という事です。
 
この事は一般的に我々、建築写真家よりも実はその建築の現場に携わってきた建築会社の皆さんの方が一番理解していると言えます。
 
例えば、外観を撮影する上で建物がどの向きで建っているのか、もしくはメインとなる外観の向きはどの方向を向いているのかという事です。室内でも窓の位置や照明器具の色温度やカーテンの有る無しなど建物の様々な環境により撮影条件は変わってきます。
 

 
 
 

上のような青空の外観撮影を撮りたい場合は基本的に太陽の位置が撮影者の背中側にあるのがベストです。
そうでないと一般的には逆光になりやすく撮影自体が難しくなります。逆光になる場合は晴天時よりも曇天の方が実は建物を綺麗に撮れるという事も頭に入れておくと良いでしょう。
 
 
建物の向き別のベストな撮影時間帯は下記の通りですので参考して下さい。
 
❶東向きの外観 ⇒ 早朝から正午前。
❷南向きの外観 ⇒ 正午前後。
❸西向きの外観 ⇒ 正午過ぎから日没前。
❹北向きの外観 ⇒ 早朝もしくは日没前
 
但し、南向きの外観でも、例えば撮影者の更に南側に大きな建物やその他の影になるようなモノがあると、必ずしもこの時間帯がベストだとは言えません。予め周辺の環境やベストな時間帯を把握しておいた方が良いと言えます。
 
 

 
 
 

続いて室内においては照明の色温度を考慮に入れておきましょう。
 
例えば、電球色の多い室内では一般的に白色のモノが白色に見えません。暖かみを残して撮りたいのであれば別ですが、光源の色温度にかかわらず白色を白色に表現できるように撮影する際にはホワイトバランス(WB)を調整して撮影する事をお勧めします。
 
カメラには一般的にWB機能が付いています。通常はオート(AWB)で良いのですが撮影すると画面が黄色っぽかったり赤っぽい時には電球マークを選んでみて下さい。低い色温度の室内の写真を青白い高い色温度に持ち上げる事で白色のバランスを中和して照明器具の色温度に影響されない本来の色を表現した撮影ができます。
 
 

 
次に室内撮影で皆さんが最も悩まされるのが適正露出(露光)ではないでしょうか?写真における撮影で我々フォトグラファーが構図と同じように拘り、気を遣っているのが露光の設定です。
 
その為に少しでも明るいレンズを使用したり、ストロボや照明を多用し露光による表現を決め工夫するのです。
 
余談ですがフォトグラファーの語源は「光を操る人」という意味があるそうです。
 

 

iPhoneなんかであればこの露出設定は画面の明暗の場所を決めてタップすればそこに適性露出となるよう簡単に変更できます。
 
また画面内をダブルタップすれば露出メモリーが現れ好きな明暗に調整もできますのでお持ちの方は是非お試しください。
 

 
 

 
 
そんな中で皆さんにお勧めの機能が有ります。明るい窓のある室内撮影などでは「HDR機能」を使うのです。※HDR=ハイダイナミックレンジ合成
 
 
HDRって何?と思われるかもしれませんが、今ではiPhoneには標準搭載された機能であり、建築物の室内を撮影する上ではとても有効な機能なのでご紹介しておきます。
 
上の左の写真のように窓の外に測光すると室内側の露光はアンダー気味になります。逆に真ん中の写真のように室内側のソファー等に測光すると窓の外は露光オーバーした撮影となります。HDR機能とは単純にこれらの2枚から複数枚の写真を合成して内と外の露光をちょうど良い見た目に調整する機能の事です。 
 

 
 
 上の写真はiPhoneの実際のHDR機能を利用して撮影したものです。アプリ等で変更や加工しなくても一発で右の様な写真が撮影できます。
 
もちろん、露光の設定も調整しながらご自分の最も適正な設定を施して利用して下さい。何も調整せずにただ単純にシャッターボタンを押しても思うような写真は撮れないかもしれません。

 

 
ただ、必ずしもHDRが有効だと言えない場合ももちろん有ります。右下の写真の様に窓の外に有る物が見えない方が良い場合もあります。
 
窓外が白飛びしていても気にしなければむやみにHDR撮影をする必要はありませんので補助的な機能という事を理解しておきましょう。
 
 
 
 
以上、建築写真の撮影テクニックのについて5回に渡り投稿させて頂きました。
 
最後になりますが、私が建築写真を撮影しはじめたのは「写真」が好きだったのではなく「建築」が好きだったから他なりません。当初は自ら設計デザインした建築物を普及したてのデジタルカメラで撮影したのが始まりでした。上手くなるにつれ集客力が上がりました。
 
どうしたら少しでも綺麗に格好良く美しく撮れるのか、日々カメラを持ち、様々な建築物を撮り続けました。そして建築写真が上手くなるために人物写真やスポーツ写真にもトライしました。それは建築写真に特化した技術を得るために重要な事でした。
 
建築写真は人物やスポーツ写真とは真逆の技術であり、スタジオ撮影とも違い、その場に出向き動かないモノを撮影するという極めて特殊な撮影ジャンルだと言えます。それが故に極めて高度な撮影技術が要求されるのです。
 
また、日進月歩で進化するカメラ機材にも常に目を向け建築業界における「集客のための最新の建築写真」が撮り続けらるよう日々精進していきます。5回に渡るご愛読、誠に有難うございました。皆様と何かの機会でいずれお会いできます事、楽しみにしております。
 

※建築写真家田岡信樹WEBサイトより

 
 

撮影協力

 
豊田市 長坂篤建築研究所
名古屋市 池下の家 建築家 森本初雄
千葉市 インテリアデザイナー 亀井寿子
名古屋市 愛三建設株式会社

建築写真家・工務店プロデューサー
田岡 信樹
アーキフォト 株式会社 代表取締役
一般社団法人 日本建築プロデュース協会 代表理事

芝浦工業大学工学部建築工学科卒。ミサワホーム株式会社に技術入社。その後、住宅・店舗建築の工務店で住宅建築プロデュース活動を開始。1999年に工務店による「建築家で建てる家」のプロデュース事業を開始。住宅建築業界での先駆けとなる。
 
その後、建築会社で営業部長、経営企画室長を歴任、集客プロモーション活動の上で「デジタル写真撮影」の活用方法と重要性を早くから実践し推奨する。2006年建築写真のデジタル撮影に特化したアーキフォトを創業、集客できる建築写真への造詣を深め、自ら写真家としてのスキルを磨き、200社を超える建築会社、建築関連会社から直接の撮影依頼をこなす等、年間の撮影件数は300件を超える。
  
2013年には建築プロデュース概念の確立と普及促進支援を目指して一般社団法人日本建築プロデュース協会を設立、代表理事に就任。各種セミナー、講座を通じて建築プロデューサー資格者等の人材育成に力を注いでいる。
 
また、自ら運営するFacebookページは現在、約66万いいね!数を誇り、Facebook日本人写真家ランキングでは全国1位のファン数を誇る。
  
2015年電子書籍による建築写真集「一生に一度は行きたい日本の名建築」シリーズを世界13ヶ国に同時リリース、日本の建築を海外にも広く紹介している。

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